籠の鳥
「待て待て!あれには手ぇ出すな!!」

するとやつはは眉をひそめて怪訝そうな顔をした。

「何で?あんたが俺をそう招いたんでしょ?」

「ほらっ、子供いるし!」

「なら違う部屋行く」

「だっ、やめろって」

腕をすり抜けて行こうとするやつはの前に再び俺は両手を開いた。



そしてそのうるささに気付き2人が身体を起こしていることに俺は気づかなかった。


もしやつはがさやに触れてみろ…

やつははさやに食い殺されるぞ…!?


「じゃあ何?あの女はあんたのなんかってわけ?」


仕方がない…

やつはを守るためだ。


「残念だが、さやも俺の女なんだ。嘘をついて悪いが、酒くらいなら注げる…「ざくや、もういっぺん言ってみろや」」

背後から覚えのある殺気を感じ恐る恐る振り向いた。

俺に引くまだらを後ろに、さやは俺を覆い隠す。

「さやが、何だって?」

「いや、そのっ…俺は、さやの為に…「お前が言う"為"はただの自己的な"情"なんだよ。」」

「…はぃ‥」

小さくなった俺にさやは高々と拳を突き上げた。

「馬鹿スケベざくやあぁ!!!」

嫌な音と共に一瞬世界が暗くなった。
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