先生との恋☆Second・Story☆完結☆
箸を止めて、きょとんとあたしを見る高橋。箸は止まってるけど口は動いてる。
今食べたばっかだけど見てたら美味しそうだなーって。
「ね、一口ちょーだい」
頭を起こして高橋の方に身を乗り出すと、嫌そうな顔をされた。
「今食べたでしょ、それ」
「それも食べる」
はい、と口を開ければ、慌てたように周りを見出して思わず笑ってしまう。
「何してるんですかっ」
「何って……」
そんな焦る事無いと思うけど。
「周りに見られるって!」
なるべく声のトーンを落としながらあたしに言ってくるけど、それが面白い。
「高橋がさっさとくれたら一瞬で終わるって」
恥ずかしいならさっさとくれればいいのに。
周りを見ても、あたし達を見てる人なんて誰もいないし。
「ここ病院ですよ」
「大丈夫だって。あたし今私服だし。誰も“患者”だって思わないって」
患者、の部分を強調すればピクッと眉が動いた。反応しすぎでしょ。
「そう言うのじゃなくて……」
「て?」
良いからさっさとちょうだいよね。
もう一度辺りを見た高橋。人目を気にしすぎでしょ。
それを分かってて言ってみたんだけど。
「……頼む時だけこう、甘えてきますよね」