貴公子と偽りの恋

裕樹Side

俺は教室に戻り、席に座ると『ハァー』と溜め息をついた。

「裕樹、どうした? 溜め息なんかついて」

「何か、変な気分なんだよ」

篠原優子と話した後、俺は何とも言えない気分だった。後味が悪く、自己嫌悪で、それでいて楽しいような…

この感情は何なんだろう。自分で自分が分からなかった。

はっきりしてる事は、それは篠原優子のせい、という事だ。


「いつも通り、女を振ったんじゃないのか?」

「あ? いや、保留っていうか…」

「おまえが保留したのか?」

「いや、女の方だ」

「どういう事だよ?」

「悪いが、言いたくない。ちょっと込み入ってるんだ」
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