貴公子と偽りの恋
すれ違う二人

優子Side

電車のシートに香山君と並んで座ったものの、どんな話をすればいいのか分からなかった。

ちっとも頭に入らないのに、キョロキョロと中吊りのポスターなんかを読むふりをしていた。

「なあ」

「は、はい?」

ふいに呼ばれて顔を向けると、無表情の香山君と視線がぶつかった。

「急に変わって大丈夫なのか?」

「大丈夫です。っていうか、私は元々こうじゃないですかあ」

そうか…。香山君の中で私はメグちゃんに成り切れてないんだ…
だから会話もないし、つまらなそうにしてるんだわ。

メグちゃんが話しそうな話題は何?
メグちゃんならこんな時、どんな話をするんだろう…

あ、バレーの話がいいかも。
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