雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~


数時間後、私は迎えに来た響の車の中にいた。

言い訳なんて聞きたくなかったけど、ケジメをつけるためにも彼に会うことをようやく決心した。

もらった指輪はつけずに、ケースごとバッグの中にしまっている。

苦い沈黙が車内を占めていた。お互い何も話さない。

響は近場にある運動公園の駐車場に車を停める。


「昨日、なんで何も言わないで帰った? ずっと電話にも出なかったな」

「――そんなの、当たり前でしょ。誕生日なのにほったらかしにさせられた私は何? ……バカみたい」


込み上げてくる怒りを抑えられず、横目で響を睨む。


「あいつとは何もないんだ、ただ……あいつは、前に付き合ってたヤツで――」

「元カノ、ってこと?」


響は車道を走る車を目で追い、無言でうなずく。


「じゃあ、あの人が合鍵を持ってたのは」

「それは、あいつとは別れたのに鍵を返しに来なかったから。曖昧なまま紗矢花と付き合った俺も悪い」


私は彼の話に疑問を持った。

本当に別れてるのなら、鍵を付け替えればいい話。


「ねえ。それって……二股だよね?」


私はシートベルトを外し、探るように響の目をじっと見つめた。
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