雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
夕飯の食材を買うためスーパーに寄ったあとも、帰り道はずっと手を繋いでいた。

俺から、というより紗矢花の方から……。


「そういえば。クラスの男の子に、絵のモデルにならないかって言われて迷ってるんだ」


不意に、彼女の通う専門学校の話題に移った。


「絵のモデル?」

「そう。時間を拘束するし、絵を描いてもらっている間はずっと動けない。だから少し面倒なんだよね」


きっと、その男は紗矢花のことを狙っているのだろう。

紗矢花の体を隅々までじっと見つめて絵を描く、というのがどうしても許せない。

想像するだけで、苛々が脳内に充満していった。


すぐ断ってしまえばいいのに、紗矢花は優しいから保留にする。

ちょうど、今の自分の状態と同じように。


「紗矢花……。その男のことは早く断った方がいいと思う。期待させるだけさせといて、後から断るなんて酷な気がする」

「そうだよね……、わかった。断ることにする」


考え込み、うつむいていた紗矢花は、何かに気づいたように顔を上げた。


「あ、でも遼のことは別だよ。ちゃんと前向きに考えてるからね」


紗矢花はそう言い、繋いでいた手に力を込めた。
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