☆彡Night and day『廼斗』☆彡〜悩んでナイト〜
「今の悲鳴、何?」「あの声はどうしたんだ? 一体何が有った?」


 教師も生徒も声がした場所を求めて、ワラワラと廊下へ出てきた。


「小粒。叫び声がしたけど、どうかしたのか?」


 痩せた太が歯切れ良く質問しながら保健室の引き戸を閉めた。


「太……くん?」


 扉から入ってきたのはあの頃の、そう。痩せて格好の良かった太だった。小粒は思わず君づけで呼んでしまっていた。


しかし。


「なんだお前、小粒をどこへやった」


 太は、シーツに身を包みベッドに隠れるようにしていた小粒を冷たく見下ろしている。


「私が……お、俺が小粒だあ。このデブふとしいっ!」


「小粒がそんなデブのわけ無い……って小粒? 今の声は確かに小粒だった……?」


 廊下に溢れ出た人の気配を察知して、太は慌てて鍵を閉めた。


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