☆彡Night and day『廼斗』☆彡〜悩んでナイト〜
 後部ドアを然り気無く開けて美麗を促す厳。


その優雅な身のこなしは、一流の教育を受けた者にしか出来ない卓越した動きだったが、実に残念なことに厳は不細工だったのだ。


「今日も有り難う。ご苦労様、毒島」


「ではまた明日、いや今日ですね。朝お迎えに上がります」


 走り去る黒塗りの車が見えなくなるまで、厳は頭を下げ、腰を深々と折り続けた。


眠らない街もこの時間にはすっかり人通りも無くなって、頭にネクタイを巻いたサラリーマンがフラフラと通り過ぎて行く。


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