十年先のLOVE・STORY

吹奏楽部の先輩

「矢口雅美さん、いますか?」
高校の入学式の翌日。
11HRの入り口で、2年生の男子2人組みが、教室の中を覗き込みながら叫んだ。

「矢口は、私ですけど。」
私は、恐る恐る、入り口に向かった。

2年生の男子2人組みは、手に名簿のような紙を持って、私の顔を見ながら、紙に書かれている内容を確認していた。

「矢口さんって、のぞみ台中学の吹奏楽で、アルトサックス、やってたよね?」

2人組みの背の低い方が言った。

「はい・・・。のぞみ台中で、アルトサックス、やってましたけど・・・。」

私は、すこぐ不細工な顔で、答えた。

どうせ、
吹奏学部の勧誘だと思ったから。

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