君を想えば

隣り

「勝也ぁぁぁ〜!!!

起きてよー!!!」


わざわざ起こしに行かなくても、

この距離なら大声だけで充分起こせる。

すごく便利な部屋の距離。


今日はなんだかいつもより早く目が覚めた。

本音は、

あまり眠れなかった。

私は世界一単純な女なのかもしれない。

初恋の相手を自分勝手に忘れて、

自分勝手に思い出して…。

それで、

なんか、

気になっちゃったくらいにして。



神様から与えられたチャンスなのかもしれない。

昨日の夜は、

ずっとそんなこと考えてた。

私が康介を好きだった時の気持ちを思い返しながら、

勝手に妄想を膨らませ、

とうとう朝を迎えてしまった。

早く学校に行って、

康介に会いたい。

聞きたいこととか、

たくさんある。



「てかお前はえーよ…。」

ボサボサ頭の勝也が、

窓からちょこんと顔を出しだらけている。

寝起きの勝也は好き。

すごく幼くて、

可愛くて、

昔の素直だった頃の勝也を思い出す。




「いつ見ても勝也の寝起きの顔は可愛いね。」



少しでも褒めたのが間違いだった。



「お前はいつみても寝起きブスだけどな。」

「…………早く準備してよね。」



あっっ!!

これはマズイ…。

勝也の顔を恐る恐る覗くように見つめると、

想像通りの顔をしていた。



まさしく悪人面。

ほくそ笑んでるし…。

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