さよなら異邦人
「それにしても何だな。お前も墓穴堀の名人だな」

「はあ?」

「わざわざロペスとかいうガイジンの話を持ち出さなきゃ、こんなふうに思い出さなくてもいい、女の話でバッサリおいらに切られちまう事も無かったろうに。まあ、そうやって大人の階段を一段ずつ昇って行くこった」

せっかくリュウノスケを父親として尊敬の眼差しで見てやろうかと思ったのに、その言い方が頭に来てそれも消し飛んだ。

いつか呪ってやる!

「それでも、俺はそんなお前が自慢だ」

「何でまた話を飛ばす?」

「飛ばしてなんかいねえよ。そうやって、真剣に思い悩むってえ事が、いい肥やしになるんだ。独り思い悩んで、精一杯答えを出そうとしたお前が、自慢だって言ってるのさ。無駄じゃねえよ。だから、これからは、今思った事、今、伝えたい事を先延ばしにしねえで、ちゃんと伝えて行くこった。それが、余命僅かな彼女への最高の餞さ」

呪うのは、暫くやめにて置く事にした。

やっぱりリュウノスケには敵わない……



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