さよなら異邦人
「さあ、完結したんだ。お前から感想を聞く約束だ」


「気が早すぎますよ。今書き終わったばかりなんでしょ」


「なら、今直ぐ読め」


「はいはい。ちょっとまだ手が離せないから、後でね」


 妻はそう言って買い物にでも行くのか、玄関を出て行った。


 日曜日の昼下がり。私は抑え切れない高揚感を持て余していた。


 冷蔵庫を開け、発泡酒を取り出す。


 自分へのご褒美だ。たまに昼間から飲んでも構わないだろう。


 作品の感想ページをクリックした。


 過去の感想履歴を追った。


 TURUKOさんからの書き込みを読みながら、その時々の自分を思い返していた。


 昼下がりのアルコールは、普段より酔いの回りが早い。


 私は、いつしか眠っていた……。


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