no drug no future
21章 悪魔
さすがに救急車で運ばれてからは薬をやめていた。

癒真くんもバンドの悔しさが少しづつ和らいできたみたいで、私に薬を勧めてはこなかった。

もちろん、私の身体を気遣ってくれていたのだろうけど。

クラブも行くのをやめ、1ヶ月が過ぎようとしていた。

この1ヶ月は精神が不安定で大変だった・・・。


体調が良くなると、私はまた薬がやりたくなっていた。

だけど今やったら・・・また振り出し。

運ばれた事で、薬から決別する良いきっかけになればいいと思っていた。

でも、周りの友達は煽(あお)ってきた。

運ばれた事を言っても、『今度からは薬の量決めれば平気だよ!』とか、『ちゃんと監視してるから大丈夫だよ!』など、返ってくる言葉は無責任なものばかりだった。

仕方がない、自分がそういう状況にならない限りは危機感は沸かないものだろうし。

私自身でさえ時間が経った今、決意がグラグラしているのが現状だ。


それでも私たちは、互いに言葉を掛け合い薬を我慢していた。

苛々したり、鬱になったりと酷かった。

ガリガリの私の体は健康になっていくと食べ物を求め過食気味になったりもした。

バイトがない日は癒真くんと気分転換に、お弁当を作りピクニックに行ったり、久しぶりにTDLにいったりもした。

でもやはり、何か物足りない・・・。

ピクニックに行けばレイブを思い出す。

TDLに行けば前に皆でキメて行ったことを思い出す・・・。

それでも『こんなのも幸せだね!』なんてお互い言い合った。


癒真くんは本当はどう思っていたのかな・・・?



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