no drug no future
後から聞いた話だが、このスリーマンの殆どがVidyのお客さんだったらしい。

私はここ数年バンドに疎く、元々、自分の知り合い以外のバンドは殆ど知らなかった。

だからVidyがこんなにも人気り驚愕した。


ライブが終わり、軽く打ち上げをして帰宅した。

癒真
「疲れた〜。ってか俺付いていけてないわ・・・皆の演奏力に。」

がっくり肩を降ろす癒真くんにびっくりした。


「初ライブなんだから仕方ないんじゃない?それにしてもお客さんの多さにおどろいたよ!」

癒真
「俺、それがプレッシャーだわ・・・。それにメンバーが」


「何、弱気になってるの?!癒真くんが望んだ事じゃないの?それにVidyって適当な演奏かと思ってたら凄いじゃん!!カッコいいよ!!」


私は癒真くんの発言に被せ元気づけた。

少しお酒も入っていたし、不安な考えは置いて、癒真くんを慰めたかった。

確かに入ったばかりの癒真くんの演奏力は付いていけてない部分があった。

でも3ヶ月の練習の割には上出来だと思えた。

癒真
「だよね。一回目からこんな気分じゃダメダメだね!よしっ!気合いはいった!(笑)」

このとき何故、癒真くんの瞳に映る悲しさを見逃してしまったのだろう・・・。


彼のメッセージを最後まで聞いてあげれば・・・。



Vidyは結構人気があるバンドみたいで事務所の誘いなどがよくきていたが入る事はなかった。

事務所に入るとバンド活動のサポート(金銭面やブッキングなど)をしてくれるが、売れたとしてもバンド側に入ってくるお金は微々たるものらしい。

だから事務所の誘いには乗らなかった。

それと同時に、全て自分たちでやるからミーティングが多くなった。

そしてライブ活動も月に4〜8回くらいで癒真くんは精神的にもキツそうに見えた。

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