no drug no future
本能と言っていいのかは分からないけれどその量の出血では死ねないと悟る。

きっと私は『死にたくない』という人間の正常な意識に駆られカミソリを引く力に弱さが出ていた。

そんなふうに考えるとなんだか少し冷静になってきた・・・

私は錯乱しそうになる自分を必死で押さえた。

ほんの少しの理性で・・・。

『ここで死んで何が残る?何の為に薬をやめたの?』

私は冷水シャワーを頭からかけ、なんとか落ち着いた。

風呂に上がり、朦朧とする頭と一緒に適当にぐるぐると手首をタオルで止血した。



私は決断した。

Psyjoからのプレゼント、覚◯剤を破棄することを。

こんなもの近くにあるだけで、精神的に毒だ。

それにもう犯罪はしたくなかった。

これに手を出したら癒真くんとの関係が壊れる。

それが何よりも嫌だった。

こんなもので儲けたお金で二人の未来を作りたくないし。

善は急げ、今すぐ捨てよう。

私は昔から思い立ったらすぐ行動だった。

癒真くんの同意も得ずに部屋の押し入れを開け、箱を手に取った。

私は何気なく蓋を開き魔の結晶を一袋掴む。


サラサラサラサラ・・・


えっ?




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