=キング of ビースト=3
志音の葬儀の時、私は逃げてしまった。
兄が死んだという事実を実感したくなくて、葬儀には参列しなかった。
式が始まって、少ししたら外に出た。
外も志音の葬儀に参列しにきた人で溢れかえっていて。
涙を流す人、苦痛に耐えている人。
全ての人が顔を歪めていた。
そんなみんなの表情を見たくなくて、足早に葬儀場の敷地内を出た。
するとそこには一台の高級車が止まっていて。
中には綺麗で静かに涙を流す女性が悲愁の色を浮かべてただ運転席に座っていた。
一瞬目が合うと、女性はハッとした顔つきになって車から降りてきて私の前に立った。
『もしかして…あなたが由莉ちゃん?』
『…誰ですか?』
『…ごめんなさい、私は璃人。あなたは?』
『由莉です…。』
『…っあなたが志音が命を懸けて守った子なのねーー…。』
『…っ!!ごめんなさい、兄を、志音を奪って…ごめんなさい。』
また言われると、また罵倒されると思った。すると体がガタガタと震えた。体が拒絶していた。
『お前が…っ!!お前が志音を殺したんだろっ』
そう言われる気がして無意識に耳を塞いでいた。