=キング of ビースト=3



完璧だ。
今できる事は完璧にこなせた。後は明日を待つだけ。


「ちょっと亮も倉庫に来ないか?」


「いや、千佳がいるから今日は遠慮しとくよ。」


「そっか。今日は本当にありがとう。」


「気にすんな。」


「じゃあ南月、帰るよー…。」

「はい。」


そう亮と話を少しして、俺と南月は運転手によって開けられた車に乗り込んだ。


俺たちが車に乗ると女たちは恐怖に襲われその場を離れて行っていた。


それを見ながら


「大成功だ。噂はすぐに広まるよ。」


と南月に言った。すると


「女ほど、噂を上手く伝えてくれる人は居ないですよ。」


と言った南月に‘確かに’と思い小さく笑った。


「南月もありがとうね。あんな素晴らしい演技をしてくれて。」


南月があの女の胸ぐらを掴んだのは………那妃の存在の重要さを伝える為、那妃に危害を加えた奴には容赦しないという狼那連合の意図をわからせる為だ。

「女の胸ぐらなんて汚くて触りたくなかったんですけどね。香水のにおいも臭かったですよ。」


そう真顔でいう南月は


「でも―………半分は本気でしたよ。」


と言った。




< 270 / 331 >

この作品をシェア

pagetop