僕は君の罪になりたい
「…夏休み中は俺から会いに行ったりしないから、安心して」


「そりゃ快適な夏休みが過ごせるわね」




手で顔を扇ぎながら片付けをしていると


成宮くんにギュッと抱きしめられた。





「寂しいクセに」


「は…離して!」


「ねぇ、みーちゃん。いい加減素直になってくれないと、俺…他の人好きになるよ?」


「なれば?」




その方が私も有り難いよ。



新任の私には、恋愛をしてる余裕なんかないもの。


ましてや生徒なんかとなんて…。





「…無理だよ。俺、みーちゃんにベタ惚れだもん」




そう言って成宮くんは優しく私の頬を撫でた。





「責任取ってよ、センセー」


「アナタは私の何が好きなの?成宮くんみたいな完璧な人にそこまで惚れてもらえる要素なんて、私にあるとは思えないんだけど…」




魅力的な外見じゃないし

内面だってズバ抜けて良いワケじゃない。




そんな私の何をこんなにも好きだと言ってくれてるの?






「それは、みーちゃんが俺を好きになってくれたら教えあげる」




じゃあね、と成宮くんは教材室から出て行った。
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