きみのとなり
拓ちゃん達が帰ったあと
私はお風呂に入って、髪を乾かして
テレビを見ながらソーダ味のアイスを頬張っていた。
暑いから、胸のあたりにまである髪をポニーテールにしてしゃりしゃりとアイスを食べる。
テレビでは夏の甲子園の県大会の結果が流れている。
それを食い入るようにして見るのはお父さんだけだけど。
「こーら、未来。あなたもう受験生なんだから部屋行って勉強しなさい!」
洗いものを済ませたお母さんは着ていたエプロンを脱ぎながら私の背中をトントンと叩いた。
「…うーん……」
「うーんじゃなくて!ほらっ!」
トントンしたあとはグイッと背中を押されて
私は仕方なく立ち上がった。
「拓海君と同じ高校行くんでしょ?だったらちゃんと勉強しなさい!」
「……はいはい」
私は大袈裟に嫌な顔をして最後のひとかけらのアイスを口に入れた。
「あ…当たりだ…」
ラッキーなことなのか何なのか…
アイスの棒が当たり。
私はそれを見て少し微笑んでから
ポイッとごみ箱に捨てた。