きみのとなり


「…拓ちゃんのこと、吹っ切れたわけじゃない。だけど……」



だけど……




「鈴木君のことも、大事で…離れたくなくてっ…抱きしめられると胸がギューッてして……それから……っ!」




続きは言えなかった。



まだまだ鈴木君のくれること、たくさんある。



だけど…



「………」



……鈴木君の手が私の両頬を包んでて、それで、この唇にある柔らかいのが、鈴木君の唇で…



…………え?




「……ごめん…」



唇を離した鈴木君は少し頬を赤くして謝った。




「……あ、うん?」



私は何が起こったのか、わからなくて


いや、理解はしてたけど色々考えてしまって言葉が出てこなかった。




「…上原…今は、俺といてくれればいいから」



「…え…?」



「まだ完璧に好きになってくれなくていい。俺も段々と上原に釣り合う彼氏になるから……だから…前も言ったけど」




……鈴木君…



今はまだ…甘えててもいい?




私……思ってた以上に弱いみたい。




だからーー




「今は隣にいて。上原」




隣に…いてくれる?






< 178 / 338 >

この作品をシェア

pagetop