きみのとなり


秋になったのに日中はまだ暑さは健在だ。



体育館は熱がこもるし、余計に暑い。




ギャーギャーとボールから逃げまくってる梢なんか汗で前髪がおでこにくっついている。




「あれぇ?みぃたん!」



「あー」



呼ばれて、そちらを見るとなんとなく呼び方でわかったけど、田中君がいた。




「隣いい?」



「うん、どーぞ」



田中君は「あちぃ」と言いながら体育着でパタパタを扇いでいる。




「あちぃ、暑すぎる」



「先生いないんだからそんな真面目にやらなくてもいいのに。しかも半袖…」



私はクスクス笑った。




「あー!ダメダメ!部活引退してから体なまってるから動かさなきゃ!」



「ふーん」



「興味なさそうだね、みぃたん」



「うん。田中君はどーでもいいや」



「ひどっ!!」




田中君があまりにもオーバリアクションをするから、プッと吹き出してしまった。







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