僕たちの時間(とき)

5.TRUTH ――真実

「連絡しなくてごめんなさい……余計な心配とか、させたくなかったから……」

 俯き、黙ったまま座る僕に向かって。

 その正面で、ベッドの上に腰掛けて水月は言った。

「聡くん、今バンドの方で大切な時なのに……私のことで気を煩わせたりしちゃ、申し訳ないもの」

 口許にほわっとした笑みを浮かべて……。

 しかし、それが戸惑いの笑みであることが、僕にははっきりとわかっていた。

 でもそうとはいえ、あんなに見たかった水月の笑顔なのに……!

 あんなに会いたくて…話したくて仕方なかった水月が今、僕のすぐ目の前にいるのに……!

 それでも……俯いた顔を上げて真っ直ぐに水月を見つめることなど、今の僕には到底できそうもなかった。

 水月の言葉に返答することすら、できない。

 胸の中の想いと、頭の中の思考が、記憶されている知識さえも、全てがフルスピードでぐるぐる回って混ざり合ってミックスジュースにでもなっている感じだ。

 きっともう、既に脳ミソはとろけてしまっていることだろう。

 僕は今、何をすればいいのか…どう対処したらいいのか、あまりにも突然すぎて為す術が見つからない。


『私の病気……』


 ふいに水月のセリフが耳の奥で甦った。

 次に続くのは、無知な僕でさえ知っている、あまりにもポピュラーな病名。

 それが行き着く先は…、――“1つ”、だけ……?

(そんなこと、信じたくない……!)

 一体どういうことなんだ……! 何で水月が、こんな……!

 僕は…僕はッ……!!

(一体、どうすればッ……!!)
< 50 / 281 >

この作品をシェア

pagetop