lack <足りないものを埋めるため出会い系を彷徨う男の話>
プロローグ
『出会い系サイト』『SNS』

見ず知らずの相手と簡単に出会える世の中。


『小腹がすいた』


とコンビニに入るように


『ちょっと寂しい』


という気持ちを埋めるために見ず知らずの他人にメッセージを送り


待ち合わせをして


他愛も無い話をして


時には互いの体を貪り


そしてまた他人になる


男が


『ちょっと寂しい』


と言う時は往々にして


『SEXがしたい』


ということ。


『俺』も確かにそうだったが『出会い系』をさまよう内に求めているのは体だけじゃなくやっぱり『気持ちなんだ』と気がついた。


もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、待ち合わせの段階でばっくれてたはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、ホテルまで付いてこないはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、キスすることもできはいはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、俺の物を咥えてくれないはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、見ず知らずの男の前で裸にならないはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、見ず知らずの男の前で股を開いてくれないはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、俺の物を自分の体の中に受け入れてくれないはず。

もし彼女にとって俺が本当に嫌な相手なら、体液にまみれた俺の物を舌で嘗め回しながら「もう一回くらいいける?」と聞いてくれないはず。


もし『本当に嫌な相手』ではないのなら、それは『好意』とまでは行かなくても『こんな俺でも受け入れられている』のだと安心する。


昔から引っ込み思案で小さいときも『いじめ』を経験し、自分に対しても『駄目な奴』とコンプレックスをもって大人になったから恋愛に対しても常に卑屈で、


『俺みたいな男相手してくれる女なんかいない』


と自分の気持ちに自分で勝手に塀を立てていた。


でも


『出会い系』の女の子は受け入れてくれた。

そのことで『自分に足りないもの』を埋めれたような気がした。



それからはひたすら出会った女達との行為を事細かく日記に書いてアップした。

すると驚くことに

『私もそう言うことをされてみたくて・・・』

とメッセージが入った。

そうやって何人もの女達と出会ってあらためて気づいた。
やはり彼女たちにも何かが『足りていない』のだと。


これからの話は、彼氏がいたり家庭があっても何か足りないと思っている人と、コンプレックスの塊の僕との話。


見ず知らずの人と会うようになったのは、7年ほど前ぐらい
田舎だった僕の街にもようやくネットがつながり始め、興味本位で当時まだ業者も少なかった出会い系で手当たり次第にメールを送ると大抵一人か二人返事が返ってきた。



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