雪の雫に濡れた夜

「シュイ、帰るぞ」

《スピカ》の裏口で、仕事帰りに迎えに来た、
 斗哉の声がして、振り返る。


「斗哉、シュイが何か思い悩んでるぞ」
 
慎がにやりと、意味ありげに笑う。


「シュイが?」
「何でもないっ、帰ろう、斗哉」

 
私は、斗哉のもとに駆け寄り、慎を振り返ると、
余計な事言わないで、と指を口にあてた。
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