世界はミューズ
仕方がない。さっさと帰ろうときびすを返すと視界の端に「12」という字が引っかかった。


「!」

私が探していた末尾の数だ。
振り向いて確認すると右上の二行目にちゃんと私の番号があった。

0212

横に読む表だったらしい。ほぉーっと肩から力が抜ける。
帰る前によく見てよかった。
黙ってコートから出た拳を握り締める。
「美術科」の文字がくろぐろと輝いて見えた。
中学はバカばっかりと飽き飽きしていた私は未来が開けていくのを感じていた。
にやにや笑って小さくガッツポーズをする。

窓口で大きな封筒を受け取り、携帯電話を持っていなかったので校門の前にあった公衆電話で家に電話をした。

自分にも何かできると信じて疑わなかった。
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