Loved you...

男のキッカケ



「…真樹ちゃんすごいパワー」

フッ…と優しく笑む
美羽に真樹は我に返る。

「あっ…ごめんなさい!
なんか上から言っちゃって…」

「いいよ。
てかそう言ってくれるの
友達だからでしょ?」


「とも、だち…?」


友達という言葉に
真樹の表情が固まる。
どうしたのかと思えば
瞳からほろりと落ちた雫。

「え、真樹ちゃん?」

さすがに焦る美羽。
涙が落ちたのに
気付いた真樹は
制服の袖で乱暴に
目元を擦る。


「ご、ごめん…!
あたし友達っていなかったから」

いつも以上に
柔らかくふっと笑う真樹。

「ありがとう」

「…話は終わったか?」

2人の話が落ち着くと
杉崎が入ってきた。
美羽は立ち上がり
杉崎と入れ替わりに出てく。

「ありがとーございましたー。
お陰でなんか楽になった」

口調は憎たらしいが
来たときより確実に
いい表情をしている美羽。
それを見た杉崎は
ふっと口角を上げた。


「真樹ちゃん、」
「は、はい」

「あたしも友達は
はじめてできたよっ」


また今度遊ぼうねって
笑いながら手を振り
美羽は保健室を後にした。


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