〖完〗子ども警察官の精華
 圭輔は走り去った。


――相変わらずやな。薄情さは。――

 精華は、そのまま立ち尽くしていた。


――掛川に言ってよかったのか。よくないよな。――

 自問自答を繰り返していた。

 むなしさだけが残る。

 少しずつ、深く突き刺さっていく。

 泣きたいようで、泣けない。

 なぜかわからない。


 それなのに、圭輔は精華の気持ちが分かっていない。

 そのまま、動けなくなった。


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