【完】ポケット-幼なじみ-
「あーゆっ!!…………誰でしょう?」
後ろからガバッと、目隠しされて目の自由を奪いとられる。
私のことを“あゆ”と呼ぶのは一人だけで
「ちなつ!」
と、自信ありげに言うと目隠しされていた手がはなれて、目の自由が返ってくる。
「バレちゃったかー。」
目を少しだけ落としながら、へへっと笑う千夏。
「バレバレだよーっ」
そう言って二人で笑い合う。
ふと、二人で空を見上げると、
さっきの雲は無くなっていて雲一つなくなった空は綺麗な絵の具で描いたかのような水色で。
このきれい過ぎる空は何故だか時々、悲しくなる。
…作り物みたいで、怖いんだ。
形あるものは、いずれ壊れてしまうから。
「集合ー。」
体育の先生が大きな声で叫び、驚きながらも走って向かった。