【完】ポケット-幼なじみ-
近くまで来てからはる君は走るのをやめて立ち止まる。
…暫く目があったまま見つめ合う
――ドクン、ドクン
周りの動きはとまるのに鼓動は早くなっていく。
時間が止まっているような不思議な感じ。
「陽斗ー!何やってんだよー。早くー」
はる君の後ろから声が聞こえて、ぱっと一瞬で目をそらされてしまう
「歩夢、ボール。」
そう言われ慌てて返事して足元にあったサッカーボールを蹴る。
しかし、ボールは全然真っ直ぐいかなくて斜めに転がっていってしまった。
謝ろうとしてはる君がいた所を見るともういなくて
「歩夢、ありがとな!」
とボールを足で自由に浮かせて
蹴っているはる君が目に入った。
………足、はや過ぎだよ。
それに「ありがとう」って私の台詞だよ…
いつも…君は私が言いたかった事を先にさらっと言ってしまうんだ。