【完】ポケット-幼なじみ-




教室の中はまだ人気が少なくて

まだ着替えから戻ってきてないようだ。




教室の中に入って自分の席にいくと机の横にかかっていたスクールバッグのチャックを開けて中に入っていたお弁当と飲み物をとってでていく。





トントントン、




と屋上に続く階段を一人で上って静かに扉をあける。




屋上で食べるお弁当は格別。








いつもは千夏と二人で来てるんだけど…





千夏が居ないから今日は一人。




少し悲しいけどしょうがない。




早く昼ご飯食べて様子見にいかなきゃ。






座って、お弁当の包みを開いて
さあ、食べようとした時だった。



「……………歩夢、遅い。」



上からはる君に似た声がして見上げると誰もいなくて

「なんだ幻聴かあー」



と一人で呟いてお弁当食べるのを再開するとまた声がした。




「歩夢、はしごから上あがってきて。」



そう言われてお弁当箱のフタをしめて立ち上がりはしごをさがす。




すぐに小さなはしごが見付かってカツンカツン、と音をたてながら上がると――はる君がいた。
< 36 / 318 >

この作品をシェア

pagetop