【完】ポケット-幼なじみ-



「……っ。とにかくごめん。来てくれてありがとう。じゃ、あたし早退するからまた明日。」





頬を伝った涙を手で拭いてから

そう言うと千夏は立ち上がって歩いていく。






まだ貧血気味らしくよろよろと

今にも倒れそうだし真っ直ぐに歩けていない






バァンと保健室のドアにぶつかって千夏の身体が床に勢いよくたたき付けられた。





「千夏……一人じゃあ無理だよ。親とか来れないの?」





「大丈夫だから。」




そう言った時の千夏の目が初めてみたとても冷めた顔で少し怖くなった。






――――――千夏は親を嫌っている気がする。





詳しくは聞いたことがない。





――――というか聞けない。




"親"という単語を聞くだけで表情や雰囲気が一変する。






「――あゆ、バイバイ。また明日」




再び立ち上がって壁にもたれ掛かりながら歩いて行った。








"また明日―――"



あなたはそう言ったのに…―



ねぇ――――――
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