その恋、ください。

ある日、いつもより少しはやめに家を出た。

「いってきます・・・」

そう言って玄関から出る。


すると、こたの家に笑顔で向かう樹里ちゃんを見た。
なんだか、

見ちゃいけない気がして

気付かれたくなくて

足をはやめた。



でも


「あれ、りりあちゃん・・・だっけ?」

って声をかけられた。

ドキっ、として

顔が熱くなったのを今でも覚えてる。


「あ・・・はい・・・」


一応、樹里ちゃんは先輩だから

あいさつする。


「中学校って大変だよね!」

なんて笑顔で笑うんだろう。

私にはあの笑顔は真似できない。

今、幸せです。って感じ。


「今度さ、一緒に遊ぼう?瑞樹のこと色々聞かせて!」

そう言って私に手を差し出した。

ここで、握手したら負ける気がした。




< 12 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop