もう一つの甲子園
それぞれの時間
駄目だな俺達・・・

雅人が残念そうに呟いた。

タカは返事に困った。

「でもよ~雅人、なんて言ったって俺達は日本最速の432と走ったんだからな」

「そうだな、今日俺達が勝ったらいきなり日本最速になっちまうもんな。そんなんじゃ~面白くないもんなタカ」

「そうそう、日本一のヨンフォアとサンパチになるもんな!」

「おかしいよ、タカ。日本一だったら一台だけだろ!」

「それじゃ~、合体してヨンパチにするか~、どうだ雅人?」

「ハハハハヨンパチ!それいいかもなっ。で、どっちがライダーで乗るの?」

「そりゃ、二人で乗ってさぁ、俺がハンドル係りで雅人はチェンジ係りって~のは?」

「いやいや、俺がハンドル係りでタカがチェンジ係りに決まってら~」

「だったら、俺が右ハンドルで雅人が左ハンドルって~のは?」

「それじゃ~サーカスの曲芸じゃね~か~面白そうだから今度やってみるか?」

「雅人のサンパチでな!」

「タカのヨンフォアに決まってんだろ!」

「ハハハ、雅人ようやく、らしくなったな」

「サンキュな、タカ」

二人の2台の排気音が深夜の峠にコダマしてやがて聞こえなくなった。













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