もう一つの甲子園
432のテールとヨンフォアのタイヤが当る位の僅差でコーナーに突入した。

タカはコーナー中ほどで後輪が滑り始めたのを張り詰めた神経の先で感じ取っていた。

これ以上滑り出したらヤバイ!

432とはジワリッジワリと離されて行ってる。

スロットルを戻したら負けだ!

コーナーの出口が見えてきた、タカはスロットルを雑巾を絞るようにゆっくりと明け始めた。

タカにはコーナーを曲がっている数秒間が何時間にも感じられた。


直線に出た432にはヨンフォアとの距離を開けてフル加速で次のコーナーを目指した。

早い!こんな加速をする4輪を見たことが無い!

タカは放されながらも432の圧倒的な速さを認めざるをえなかった。

雅人!無理するなよ!心の中でつぶやいた。

432は右コーナーへ消えていった。

タカが右コーナーと抜けた時サンパチと432が直線で並んでいた。

この短い直線でサンパチを抜くには圧倒的なスピードの差がなければ無理だ!

しかし432は次のカーナー手前ぎりぎりの所でサンパチをパスした。

あっと言う間に勝負が着いた。

予想以上の完敗だった・・・・

雅人が直線の先でバイクと止めて待っていた。


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