もう一つの甲子園
「タカ見ろ!GTRだ!」雅人が興奮して叫んだ。

(GTR:Z432と同じR380のレーシングエンジンを市販用に、ディチューンしたエンジンを積んだ希少なツーリングモデルだ)

タカと雅人は興奮の坩堝に落ちた。

「スゲーよ、どんなやつが乗ってんのかな?」

GTRのドアが開いて、スラッと伸びた綺麗な足が見えた。

「女だ!雅人」

「タカ、声がでかいよ、聞こえるって」

降りてきたのはプロポーションバツグンの髪の長い女性だった。そして開口一番。

「おじ様、今日はお招き頂いてありがとう」

「おじ様?おじ様ってこのタコの事?」タカは驚いて聞き直した。

「そうよ、タコのおじ様の事よ」その女性は笑いながら言った。


「おっさん!」

「なんだ?」

「ちょっ、ちょっと。こっち来て」

タカは声が聞こえない所までタコおやじを連れて行って聞いた。

「おっさんのコレか?」

タカが小指を立てて聞くと

「バッカヤロー、愛人なわけねーだろが!」

ゴン!とゲンコツを貰ったタカだった。

「おっさん、そんなデケー声したら聞こえちゃうよ!」


「あ~ら、ボク。全部聞こえてるんだけど~」

「あちゃ~」タカは手で顔を覆った。

「タカ、この娘はな。俺の姉の子で麗奈って言うんだよ!」

「見えねー!」タカと雅人はハモッタ。

「この綺麗なお姉さんが、タコの親戚な訳ねー!なあ、雅人」


「綺麗なお姉さん?正直なボクちゃんね」

「お姉さん、俺、ボクじゃなくてタカだよ。そしてアイツが」

「雅人でーーーす」

「ふ~ん~、タカと雅人ね。ヨロシクね」

「は~い、俺達。綺麗なお姉さんだ~い好き!な!雅人」

「は~い!右に同じ~」

「面白い子達に囲まれて、楽しそうね。おじ様」

「けっ、こんなやつらといるとアホがうつっちまうよ。麗奈」


「そんな、アホにアホなんて言わないでおじ様」
タカが麗奈の真似をして言うと全員が爆笑した。


そこへ丁度、沢田の乗ったモンスターZ2が帰って来た。すると今まで温和だった麗奈の目つきが変わった。








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