もう一つの甲子園
Z2が加速で差を広げるとコーナー進入で差を詰めるといった一進一退の状態が続いた。

折り返し地点からの帰り道は下り坂になりGTRが有利になる。

タカは下りに入った時、玲奈との差が15m位ある事を確認した。

しかしその差はすぐに縮まり道半ばまでにすぐ後ろに迫って来ているのが排気音で確認できた。



長い直線の次の緩やかな左コーナーの突っ込みでGTRが前に出てZ2の進路を塞いだ。

「チッキショー、せっかくここまで頑張ってきたのに!」

タカは悔し涙が出そうになった。



しかし玲奈のGTRの後ろを走っているうちにタカは何故かコーナーを楽に曲がれる事に気が付いた。

「そうか、ライン取りを教えてくれているんだ」



だんだんとリズムに乗ってきたタカは、下りのGTRに付いて行くのが楽しくなってきた。


「あら、気が付いたのね。タカ」

タカのラインが変わったのを見て玲奈は、何故か嬉しくなっている自分に気が付いた。


二人は昔から知っているような気持ちになった。

しかし、タカはまだ諦めてはいなかった、最後の直線は緩やかだが上りになる、そこまで離されずについて行ければ勝算はあった。



「最後のコーナーの立ち上がりで勝負だ!GTR!」




















< 37 / 43 >

この作品をシェア

pagetop