もう一つの甲子園
タカは最後のコーナーまで離されないように必死で食らいついた。


ウォーーー、ゴォーーーとGTRとZ2の排気音が入り混じり、峠は二人だけの神聖な場所と化していた。


タカのZ2はコーナー手前で追いつくが、コーナーリングスピード(コーナーを回る速さ)の勝るGTRはコーナーを出た時に差を広げていた。


だからクリッピングポイント(コーナーの内に一番近づく所)からいかに早くスロットルを開けて行くかにかかっていた。

次の右ブラインドコーナーを抜け、すぐに左の緩やかなコーナーを抜け一旦下るとタコおやじ達の待っている上りの直線になる。

タカはブラインドコーナーは浅く入り左の緩やかなコーナーのアウト側(コーナーの外側)へ早めに寄った。

それはコーナーを大きく回りコーナーの脱出速度を早めるためだった。


タカがアウト側に寄った後GTRが目の前にスライド(滑る事)しながら現れた。


麗奈のGTRの方が小さく回っている、後ろにいたタカにははっきりと見えた。


タカはZ2を左に目一杯バンク(傾ける事)させると周りの景色がスローモーションのようにゆっくりと流れ始めた。

めの前のGTRが止まっているように見える。それはタカの脳がフル回転を始め活性されたからだった。

直線に出た瞬間にタカはGTRの真後ろに付いた。

「スリップストリーム(車の直後は負圧になっていて風の抵抗が少ないので直線で抜く時よく利用される)を利用する気ね!タカ!そうはさせないわ」

麗奈はハンドルを少し左にきってタカの進路から外れた。

その少しの変化をタカは見逃さなかった。

タカのZ2はそのままGTRの右横に並んだ2台は直線の下りをフル加速で走り抜けた!

「ここが勝負だ!」










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