もう一つの甲子園

転機

それから数日後、洋二から電話があった。


「洋二、どうした?」


「今年は、県予選の準決勝で負けたから甲子園へ行けなかったよ」


「そうか、そりゃあ残念だったな。でも来年の春と夏が有るからそれに向けて頑張れよ」


「ああ、頑張るよ。それより明日暇か?」


「あっ、俺はいつでも暇」


「だったら俺ん家来ないか?」


「お前ん家何もないからな~」


「美奈が友達連れてくるんだけど・・・・」


「それを、早く言えよ。どんな事があっても行く!でっ、何人来る?」


「美奈とこの前のミサとミサの友達の3人かな。雅人も呼んでやってくれ」


「モテテいいな、野球少年は!でっ、何時に行けばいい?」


「2時頃かな」


「じゃあ、明日、雅人と行くよ」


「うん、じゃあ、明日」


やったー!タカは久しぶりに美奈に会えると思うと明日が待ち通しかった。早速、雅人に電話をすると泊まりに来ることになった


それから夜の9時ごろ雅人が遊びに来た。


「タカ、ほい、ビール!」


「気が利くね~、雅人。付けといて」


「かー、またかよ。この前の580円も返してもらってねーぞ」


「そーんな事言っていいの雅人!俺が電話しなかったら明日のパラダイスは無かったんだぜ」


「何、言ってんだよ。全部洋二のお陰じゃねーか」


「あのな、俺と洋二が厚い信頼で結ばれてるから電話があるの!」


「はいはい」


「はい、はいかいっ!まっ、とりあえずカンパーイ!」


プゥッシュウー!と泡が飛び散った。


「うわっ!雅人振ってきたのか?」


「仕方ねーだろ、サンパチのハンドルにかけて来たんだから。ところでツマミはねーの?」


「あっ、だったら下行ってババアに貰って来いよ」


「またかよ、おめーの家だろ?」


「雅人が言ったほうがババアが良い物出してくれるんだよ」


「仕方ねーなー」

雅人はしぶしぶツマミを取りに行ったのであった。


そして二人は峠の事で話が盛り上がり呑み潰れたのは言うまでもない。


翌日目が覚めた時には昼の2時を過ぎていた。










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