好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


不意に。


唇に、柔らかい感触が届いた。


そしてすぐさま口の中に満たされる、ヒンヤリとした液体。


――ほんのり甘い、これは、水?


私はその液体を、コクンと、喉を鳴らして飲み下した。


飲みきれない分量が、口の両端から溢れて喉へと伝い落ちる。


まるで、儀式のように。


何度となく繰り返される動作で、少しずつ、喉の渇きが癒されていく。


目を、開けたらいけない。


目を開けたら、きっと全ては消えてしまう。


そう。


これは、夢の続き。


残酷で、幸せな、夢の続き――。


溢れ出す涙が頬を濡らす。


そして。


再び、唇に届いた柔らかい感触に包まれながら、私の意識は、深い闇の中に落ちていった。


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