好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
プチン――。
ブンブンと振り続ける指先に、ゴムが切れた感触が走った。
フッと、軽くなった指先に宿る言いようのない喪失感に、思わず手が止まる。
視線の先を、
コントロールを失った水風船が、放物線を描きながら、スローモーションで空を飛ぶ。
青い残像が、ゆっくりと尾を引き、
やがて、人波に紛れて消えていく。
あの水風船は、地面に落ちて割れるのだろうか?
それとも。
誰かに踏まれて、割れるのだろうか?