好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
女の子達がみんな、ちっちゃサイズのリンゴ飴を可愛くなめているのに、私は特大サイズをハグハグ囓っていた。
そんな可愛いアイテム、私には似合わないって。
大きなサイズを豪快に囓るのがお似合いだって、
そんな風に思ってた、あの頃は。
「あれ、とっても、美味しそうだったなぁ……」
しみじみと。
本当に食べたそうにハルカが言うので、思わず笑ってしまった。
「ふふふ。今度は、一緒に食べようよ。お店で一番大きいのを買ってさ。あれって、病み付きになるおいしさなのよねー」
甘いリンゴ飴の世界へ、ハルカを誘惑していたら、浩二が『うえぇ』という顔でチャチャを入れてきた。
「良く、あんな甘ったるいものが食べられるよな。俺には、ただのリンゴの砂糖漬けにしか思えないぞ」
「アンタはいいの浩二。付録なんだから!」
「へいへい。付録は、黙りますよ」
口の中を真っ赤に染めて、二人でハグハグ、大きいリンゴ飴を囓ろう。
ハルカは笑う。
楽しそうに。
嬉しそうに。
これ以上ないってくらいの、特上の笑顔で笑う。