好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
浩二の腕の中で、
まるで眠っているみたいに、微笑みさえ浮かべて。
ハルカは、静かに息をひきとった。
ほんの二十五年。
あまりにも早すぎる死を、他人は可哀想だと、不幸だと言うけど。
私は、そうは思わない。
だって。
ハルカは、最後に、特上の笑顔を見せてくれた。
可哀想な人間が、
不幸な人間が、
あんな満ち足りた笑顔をできるはずがない。
だから。
ハルカは、幸せだったんだ――。