好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

「何? 悪かったわよ、嘘つき呼ばわりしちゃって。ほらさ、知ってる人がテレビに出てたもんでビックリしちゃったのよ、ゴメンね」


さすがに気がとがめて、素直に謝った。


『それは、別に良いけど。……亜弓、今、付き合ってる男いるんだよな?』


「は? いるけど、なんで?」


脈絡のない質問に、浩二の言わんとすることが掴めず、眉を寄せる。


私に彼がいたら、どうだと言うんだろう?


伊藤君がプロサッカー選手になったことと、どんな繋がりが?


『いや……』


電話の向こうに流れる、微妙な沈黙。


何だか、何かを言いたいけど『ためらっている』そんな感じ。


こんな浩二は初めてだ。

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