好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

「肝心な用件を忘れていた。亜弓、週末時間あいてるか?」


「え? ああ、今週末は実家に帰る予定なんだけど……、何か、用事があったの?」


「そうか、実家に……。じゃあ、仕方ないな。今度にするよ」


そう言って、少し肩をすくめると、直也は又食事に戻ってしまった。


「え、なに、何? 気になるなぁ、言ってよ」


「ああ。ちょっと、家の両親が、会いたいっていうもんだから」


はい!?


「ご……両親って、直也のご両親!?」


「そう。でも用事があるんだから、又今度で良いよ」


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