好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

伊藤君が病室に来て一時間ほどたったころ。


ハルカに疲れの色が見えてきたため、お見舞いと言う名の束の間の同窓会は、お開きになった。


私は、ハルカに、また来週お見舞いに来ることを約束して、浩二と伊藤君と共に、病室を後にした。


『久々だから、今から三人で飲み会でもしようや』との浩二の提案は、伊藤君の予定が合わなくて、実現ならず。


正直、私は少しだけホッとしていた。


このまま、伊藤君の側でお酒なんか飲んだ日には、どんな酔い方をするか、分かったものじゃない。


きっと、悪酔いするに、決まっている――。

< 71 / 223 >

この作品をシェア

pagetop