好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

怒りの頂点に達しようとしている私の心中を、知ってか知らずか。


信号が青に変わり車をスタートさせた浩二は、運転に集中しながらも、話をやめようとはしない。


「で、それで?」


「何が、それでよ?」


前方を、厳しい表情で見つめてハンドルを操る浩二の横顔を、睨み付けて言う。


浩二はその厳しい表情のまま、情け容赦なくズバリと核心を突いてきた。


「俺はまだ、質問への答えを聞いてない。俺は、亜弓が伊藤を好きかどうか聞いたの。

はぐらかすのはナシな。男として、好きか、嫌いか、どっちかだ。

分かった?」


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