好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


「本当に、そう思ってるのか?」


「あ、当たり前よっ。伊藤君は、ハルカの彼氏でしょ? ホント、冗談でもそんなこと言うのやめてちょうだい!

それに、私、この前彼にプロポーズされたのよ。でっかいダイヤの婚約指輪も貰ったし、今度は彼のご両親にも会うことになってるの!

分かった!?」


取り乱し過ぎて、思わず、弾丸トークしてしまった。


これじゃ、後ろ暗いのが丸分かりじゃない。


挙動不審も良いところだ。


その辺を突っ込まれたら、なんて答えよう?


「そいつと、結婚するってか?」


「する!」


あまりに意地の悪い言いようにむかっ腹が立って、思わず、勢いで断言してしまった。


「ふうん……」


おまっ。


何だその気の抜けた『ふうん』は!?


これだけ人の心の中を引っかき回しておいて、『ふうん』だぁ!?
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