*powder snow ~空に舞う花~*



千雪から聞いた駅はここから3駅先の所だった。

切符を2枚買って、改札口に向かう途中

オレの上着の裾が少し引っ張られているのを感じて、フッと見下げると


千雪の手がオレの上着の裾をつまむようにつかんでいた。



「ちゃんと…話すから」


そう言った千雪の目はまだ潤んでいたけど、涙をためてはいなかったから

そんなことに少し安堵して



「期待しないで待ってる」





裾にあった手をとって、
オレの手の中におさめた。



初めてつないだ手は少し震えていたけど、

「うんっ」

やっと、笑った千雪に笑顔でかえす。




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