空悟~大切な君~
家の玄関を開けると最初に聞こえてくるのは空悟の泣き声。まだ泣いてんのか。
「お、海斗。今電話しようとしてたんだよ」
出て来た父さんは手に鞄を持ってスーツを着ていた。
「父さん出掛けるの?」
「ああ。会社から電話があって、すぐ行かなきゃいけないんだ」
「そう…」
また空悟と二人っきり。仕方ないと思っていても、こんな時少し父さんをズルイと思ってしまう。
「空悟、頼むな」
申し訳なさそうに言って父さんは出て行った。俺はため息をついてリビングに入る。
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