キミを抱く

休み時間も
佐藤くんから
お声がかかるコトはなく
私からも
何か言う気は
少しも起きなかった

帰る時
靴箱の前で
靴を履き替えてると
男子と笑いながら
玄関を出て行く
佐藤くんと目が合った

真顔になって
スッと目を逸らし
また男子たちと
笑顔で歩く佐藤くんは
もう他人で

やっぱり
何の気も起こらない私も
もう他人だった

幻とか
勘違いとすら
呼べないんじゃないか

そんな
私のハツカレ
3日間の

「はーあ」

大きなため息と一緒に
ハツカレの経歴を
頭の中から削除

こんなの
ノーカウントだ

かかとが潰れないように
気をつけて履いた
ローファーで
学校を一歩出たら
風が冷たい

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